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在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~

独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
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バックパックを片づけた夜

バックパックを片づけた。
3週間前、タイにいってたときの赤いバックパック。
私の旅の相棒。
1日だけバンコクの空気を吸った。
母が倒れて緊急帰国した夜、空港からバックパックを担いだまま病院へ直行したのだ。
夏服しか持ってなかったから、2月の夜の病院は寒かったな。
帰宅するとバックパックは部屋の奥に投げすてて、それっきり今まで触れもしなかった。
それをようやく片づけた。
パスポート、ダウンロードした地図、Tシャツ、ハブラシ、日焼け止め。
一度も使わなかった旅道具をひとつずつ片づけていると、先月の今ごろ、押入れからこのバックパックを出してきたときのワクワク感を思い出して悲しくなってしまった。
もちろん遊でる場合じゃないし、たった1日でとんぼ帰りをしたのはネタとしてはおいしいけど。
やっぱり、ちょっと、悔しいな。

だけど、こうも考える。
私はずっと書くために旅をしていた。
文章を書くための旅だった。
だからこんどは違う文章を書けばいいのだと。
まるで古い舞台のセリフのように。
戦争に志願したアポリネールのセリフのように。
 「恋愛の詩も書いた、牢獄の詩も書いた。
  今度は戦争の詩が書きたくなったんだ」
そうだ私はアフリカも書いた、中東も書いた、南米も書いた。
こんどは違う世界を書けばいいのだ。
今までたくさん旅ができたのは、ほかでもない、両親のおかげなのだから。
今こそ違う文章を書く旅にでよう!

私は赤いバックパックを一度だけぎゅーっと抱きしめてから押入れにしまった。
そのとき思わず、
 「さらば諸々の古きくびきよ!
 二度と戻ることのない私の青春よー!」
オスカル様のセリフが口をついて出た。

・・・来たれ、アンドレ。

「地球の迷子」更新中です。
「たった1日だけの旅(4) ワット・ポーの魅力」
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母:高次脳機能障害、要介護5
妹:重度重複障害者
父:天然ボケ
猫:2匹
こんな家での暮らしを綴っています。
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