在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~
独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
悪夢
そこは古びた団地だった。
黒雲にすっぽり覆われたように暗い。
壁も手すりもボロボロだ。
廊下にはゴミが散乱し、天井からは蜘蛛の巣がたれさがっている。
・・・こんなところにおじいちゃんは連れてこられたのだ。
チラリと赤が過ぎった。
廊下のつきあたりに、少女が2人、笑いながら立っている。
真っ赤なスカートにおかっぱ頭。
ふたごの姉妹だ。
声もなくにやにや笑っている。
「こっちにおいで」
と手招きしている。
吸い込まれるように女の子のあとを追った。
廃墟のような4畳一間に祖父がとじこめられていた。
畳がカビている。
女の子の姿は見えない。
「逃げよう!」
私は祖父の手をとって部屋からとびだした。
・・・追っ手はすぐそこまで来ている。
私たちは『何か恐ろしいもの』から逃げていた。
「おじいちゃん、走って!」
だが祖父はなかなか動かない。
いっしょうけんめい引っ張るが、重くて重くて仕方がない。
祖父がはじめて口をきいた。
「違うんや」
何が違うの!
祖父の顔を見た。
おじいちゃんは昔と変わらぬ銀髪で、上品な服装をして、疲れた顔で私を見上げた。
それでもなんとか私たちは団地を脱出し、家に帰りついた。
「おじいちゃんを連れて帰ってきたよ」
報告すると、母は
「あんた何いってるの?
おじいちゃんはとっくの昔に」
とっくの昔に。
死んでいる。
私は誰を連れて帰ってきたのだろう。
黒雲にすっぽり覆われたように暗い。
壁も手すりもボロボロだ。
廊下にはゴミが散乱し、天井からは蜘蛛の巣がたれさがっている。
・・・こんなところにおじいちゃんは連れてこられたのだ。
チラリと赤が過ぎった。
廊下のつきあたりに、少女が2人、笑いながら立っている。
真っ赤なスカートにおかっぱ頭。
ふたごの姉妹だ。
声もなくにやにや笑っている。
「こっちにおいで」
と手招きしている。
吸い込まれるように女の子のあとを追った。
廃墟のような4畳一間に祖父がとじこめられていた。
畳がカビている。
女の子の姿は見えない。
「逃げよう!」
私は祖父の手をとって部屋からとびだした。
・・・追っ手はすぐそこまで来ている。
私たちは『何か恐ろしいもの』から逃げていた。
「おじいちゃん、走って!」
だが祖父はなかなか動かない。
いっしょうけんめい引っ張るが、重くて重くて仕方がない。
祖父がはじめて口をきいた。
「違うんや」
何が違うの!
祖父の顔を見た。
おじいちゃんは昔と変わらぬ銀髪で、上品な服装をして、疲れた顔で私を見上げた。
それでもなんとか私たちは団地を脱出し、家に帰りついた。
「おじいちゃんを連れて帰ってきたよ」
報告すると、母は
「あんた何いってるの?
おじいちゃんはとっくの昔に」
とっくの昔に。
死んでいる。
私は誰を連れて帰ってきたのだろう。
そこで目が覚めた。
元旦の夜に見た、初夢が悪夢だった。
それからだ。
毎日、毎晩。
悪夢をみてる。
あまり詳しくは覚えていないのだけど。
目が覚めたときに
「ああ怖かった」
とか
「ああイヤな夢だった」
という感情が残る。
悪夢の残尿感みたいな。
墓参りにも行った。
仏壇も掃除した。
それでも悪夢はおさまらない。
体調も悪くないし
仕事も今は楽ちんだし
さっぱり理由がわらかない。
祖父はときどき現れるけど
何も教えてくれはしない。
気持ちが悪くて仕方がない。
言いたいことがあるのなら、ハッキリ言ってくれよ、お爺!
厄除け、行ってこようかなあ・・・。
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