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在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~

独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
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悪夢

そこは古びた団地だった。
黒雲にすっぽり覆われたように暗い。
壁も手すりもボロボロだ。
廊下にはゴミが散乱し、天井からは蜘蛛の巣がたれさがっている。
・・・こんなところにおじいちゃんは連れてこられたのだ。
チラリと赤が過ぎった。
廊下のつきあたりに、少女が2人、笑いながら立っている。
真っ赤なスカートにおかっぱ頭。
ふたごの姉妹だ。
声もなくにやにや笑っている。
 「こっちにおいで」
と手招きしている。
吸い込まれるように女の子のあとを追った。
廃墟のような4畳一間に祖父がとじこめられていた。
畳がカビている。
女の子の姿は見えない。
 「逃げよう!」
私は祖父の手をとって部屋からとびだした。
・・・追っ手はすぐそこまで来ている。
私たちは『何か恐ろしいもの』から逃げていた。
 「おじいちゃん、走って!」
だが祖父はなかなか動かない。
いっしょうけんめい引っ張るが、重くて重くて仕方がない。
祖父がはじめて口をきいた。
 「違うんや」
何が違うの!
祖父の顔を見た。
おじいちゃんは昔と変わらぬ銀髪で、上品な服装をして、疲れた顔で私を見上げた。
それでもなんとか私たちは団地を脱出し、家に帰りついた。
 「おじいちゃんを連れて帰ってきたよ」
報告すると、母は
 「あんた何いってるの?
  おじいちゃんはとっくの昔に」
とっくの昔に。
死んでいる。
私は誰を連れて帰ってきたのだろう。


そこで目が覚めた。
元旦の夜に見た、初夢が悪夢だった。


それからだ。
毎日、毎晩。
悪夢をみてる。
あまり詳しくは覚えていないのだけど。
目が覚めたときに 
 「ああ怖かった」
とか
 「ああイヤな夢だった」
という感情が残る。
悪夢の残尿感みたいな。


墓参りにも行った。
仏壇も掃除した。
それでも悪夢はおさまらない。
体調も悪くないし
仕事も今は楽ちんだし
さっぱり理由がわらかない。


祖父はときどき現れるけど
何も教えてくれはしない。
気持ちが悪くて仕方がない。
言いたいことがあるのなら、ハッキリ言ってくれよ、お爺!


厄除け、行ってこようかなあ・・・。


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初めましての方へ

母:高次脳機能障害、要介護5
妹:重度重複障害者
父:天然ボケ
猫:2匹
こんな家での暮らしを綴っています。
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