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在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~

独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
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母の日に

母の日には毎年、花をプレゼントする。
カーネーションじゃなく鉢植えの花。
そのほうが長く楽しめると母がいうからだ。
だけど今年はあげられなかった。
病人に根っこのついた植物は縁起が悪い。

今年の母の日に私がしたことは、下の妹を病室につれていくことだけだった。
重い障害をもつ妹は、トラウマでもあるのか、病院をむちゃくちゃ怖がっている。
入院中の母に会うことはさらに嫌がる。
絶対的信頼をおいている人が
 「変わってしまった」
ことに恐怖を感じるらしい。
だからこの妹は、母が倒れてから数えるほどしか見舞いにいっていない。
そこを
 「今日は母の日だよ。
 お母さんに、にっこり笑った顔みせてあげようね」
と言い聞かせ、なんとかかんとか連れていくことに成功した。

母はこの30年間、懸命に妹を世話してきた。
倒れてからもその意識が抜けなかった。
母は今、脳を傷め、半ばモヤのかかった想像の世界で生きているが、その想像のなかでさえ、麻痺して動かなくなった左手を「ゆうこ」と名付け、左手の「ゆうこ」の世話をしてきた。
ごはんが出ても
 「ほら、ゆうこ、ごはんだよ」
とスプーンをさしだし、リハビリのときは
 「ゆうこ、のびのびー!」
といいながら左手を伸ばそうとしたりして。
母はこんなになっても尚、ゆうこの世話をつづけているのだ。

ゆうこはずっとそばにいる。
そう思ってるところへ私が「ゆうこ」をつれてきたものだから、母はちょっと混乱した。
ゆうこが2人になっちゃった!
本物のゆうこを認識するのに5分くらいかかった。
認識ができると、ゆうこゆうこと連呼して、頬をなで、腕をさすった。
めちゃめちゃ喜んでいた。

ちょうどお散歩の時間だった。
2台の車いすをならべて院内をあるき、エレベーターをおり、5月の陽射しのしたにでた。
療法士さんにシャッターを押してもらって3人で記念写真を撮った。

『親孝行、したいときに親はなし』
っていう。
私はもしかしたら、間に合ったのかもしれない。
今までさんざんやりたいことやらせてもらってきた。
旅ができたのも、本を書けたのも、母のおかげだ。
これからたくさん、たくさん親孝行しよう。
恩返しするチャンスなんだ。
毎年、花は贈ってきたけど、今年ほど母の日をかみしめたことはない。
ありがとう、お母さん。
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初めましての方へ

母:高次脳機能障害、要介護5
妹:重度重複障害者
父:天然ボケ
猫:2匹
こんな家での暮らしを綴っています。
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