在宅介護しながらウィーンへ行くブログ～猫とビターチョコレート～

勝負事が好きな父は宝くじも好きだ。
当たりもしないのに昔からよく買っていた。
だが今年のドリームジャンボは買わないという。
理由をきいたら
　「どうせ当たらん」
と言ったきり黙ってしまった。
どうせ当たらん。
もし、当たったところで。
本当に欲しいものはお金では買えないのだ。
どんなにお金があったって、母は元には戻らない。
どんなにお金があったって、旅行どころかトイレにさえ連れていけないのだ。
お金なんか。
いくらあったところでどうにもならない。

・・・いや、お金があったら家のリフォームができるんだけどな！

　「宝くじ、買おう」
と言ったのは母だ。
病院の庭の緑色のアジサイを見ながら言った。
　「お父さんの誕生日プレゼントに１０枚だけね」
それで私が宝くじ売り場へ買いにいった。
係りの人が
　「当たりますように」
と渡してくれた。