在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~
独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
オヤジの果敢な挑戦~オムツ交換への道(2)~
うちのオヤジ。
64才にして、生まれて初めて紙オムツというものに触れた。
母のオムツ交換にチャレンジしたのだ。
持っていたのはなぜか赤ちゃん用ムーニーマンだったけど(1月10日の日記)。
母自身が何度も教えたので尿とりパッドだけは覚えた。
それでもオムツ交換への道は遠かった。
「俺こういうの苦手や・・・」
なんども呟いた。
汚物に触れるどころか直視することもできない。
男性には精神的にきつい仕事なのかもしれない。
それに私は教えることが下手だから。
すぐに、
私がやったほうが早い!
ってなっちゃうから。
それでオヤジはしゅんとして
「俺もうムリ」
と逃げてしまった。
練習しようというと黙って部屋からでていった。
それを
「できるようになってもらわないと、イザという時に困るでしょ!」
叱りつけたのは母本人。
「うん・・・」
雨にうたれた子犬みたいな顔でオヤジはもどってきた。
不器用な指でおどおどと紙オムツに触れていた。
「シワになったらアカンのよ、褥瘡になるからね!」
母は私よりもスパルタだった。
そんなこんなで、先日。
オヤジが台所にのっそりと顔をだして
「母さんがオムツ替えてほしい言うてるんやけど」
と告げにきた。
その日は妹が帰宅していた。
私は夕飯のエビフライを揚げている真っ最中で、その隣では妹が暴れまくっていた。
私いま手が離せないから!
お父さんひとりでやってみて!
「・・・わかった」
オヤジはまたのっそりと顔を引っ込めた。
エビフライを揚げ終わってから様子をみにいくと
「お父さんがね、オムツ替えてくれはったよ!」
母が興奮して教えてくれた。
大丈夫?
「うん、今終わったとこ」
母とは対照的にオヤジの声はかぼそい。
息切れしている。
初めて大事業を成し遂げたので疲れ果てたらしい。
「あかんかった・・・・。
ぐっちゃぐっちゃや・・・。
おまえやり直してくれ・・・・」
恐々あけてみると、尿とりパッドが芸術的にエライことになってた。
よじれて裏向けではみだしてた。
もはや横向きだった。
ここまでになるなんて、さぞかし苦労したのだろう。
「よく頑張った」
ほめといた。
母も一生懸命に
「ぐちゃぐちゃと違うよ。きれいにできてたよ。ありがとう」
あからさまに嘘の言葉を尽くしてほめていた。
オヤジは悲しそうにしおれていた。
「俺はアカンなあ・・・」
あれから数週間。
オヤジはまだ一度も紙オムツに触れていない。
がんばれ、オヤジ!
負けるな、オヤジ!
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64才にして、生まれて初めて紙オムツというものに触れた。
母のオムツ交換にチャレンジしたのだ。
持っていたのはなぜか赤ちゃん用ムーニーマンだったけど(1月10日の日記)。
母自身が何度も教えたので尿とりパッドだけは覚えた。
それでもオムツ交換への道は遠かった。
「俺こういうの苦手や・・・」
なんども呟いた。
汚物に触れるどころか直視することもできない。
男性には精神的にきつい仕事なのかもしれない。
それに私は教えることが下手だから。
すぐに、
私がやったほうが早い!
ってなっちゃうから。
それでオヤジはしゅんとして
「俺もうムリ」
と逃げてしまった。
練習しようというと黙って部屋からでていった。
それを
「できるようになってもらわないと、イザという時に困るでしょ!」
叱りつけたのは母本人。
「うん・・・」
雨にうたれた子犬みたいな顔でオヤジはもどってきた。
不器用な指でおどおどと紙オムツに触れていた。
「シワになったらアカンのよ、褥瘡になるからね!」
母は私よりもスパルタだった。
そんなこんなで、先日。
オヤジが台所にのっそりと顔をだして
「母さんがオムツ替えてほしい言うてるんやけど」
と告げにきた。
その日は妹が帰宅していた。
私は夕飯のエビフライを揚げている真っ最中で、その隣では妹が暴れまくっていた。
私いま手が離せないから!
お父さんひとりでやってみて!
「・・・わかった」
オヤジはまたのっそりと顔を引っ込めた。
エビフライを揚げ終わってから様子をみにいくと
「お父さんがね、オムツ替えてくれはったよ!」
母が興奮して教えてくれた。
大丈夫?
「うん、今終わったとこ」
母とは対照的にオヤジの声はかぼそい。
息切れしている。
初めて大事業を成し遂げたので疲れ果てたらしい。
「あかんかった・・・・。
ぐっちゃぐっちゃや・・・。
おまえやり直してくれ・・・・」
恐々あけてみると、尿とりパッドが芸術的にエライことになってた。
よじれて裏向けではみだしてた。
もはや横向きだった。
ここまでになるなんて、さぞかし苦労したのだろう。
「よく頑張った」
ほめといた。
母も一生懸命に
「ぐちゃぐちゃと違うよ。きれいにできてたよ。ありがとう」
あからさまに嘘の言葉を尽くしてほめていた。
オヤジは悲しそうにしおれていた。
「俺はアカンなあ・・・」
あれから数週間。
オヤジはまだ一度も紙オムツに触れていない。
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