在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~
独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
作業所のお別れ会
妹を迎えに作業所へいくと
「ちょうど始まるところですよ」
といわれた。
司会をつとめる職員さんの声がマイクを通して聞こえてきた。
「では、ゆうこさんの『お別れ会』を始めます」
高校をでてから十余年。
妹はこの作業所に通い、働いてきた。
緩衝材を袋につめていくだけの簡単な仕事だ。
ふつうの人なら一袋数十秒でできるだろうが、妹の体だと1時間かかる。
丸一日働いても数袋。
一か月の給料もほんの小銭だ。
だが、ほんのわずかでも働いている。
稼いでいる。
それを妹は誇りに思っていた。
数字の勘定はできないけど、お金が大切なものであることや、節約することは知っていた。
自分で稼いだお金だからだ。
だけど妹はもうすぐ施設に入所する。
作業所は辞めなくてはならない。
それで『お別れ会』をしてもらったのだ。
花束と。
寄せ書きと。
プレゼントと。
たくさんの言葉と。
握手と。
抱擁と。
笑顔と。
涙と。
車椅子のひざの上に抱えきれないほどのものをもらった。
妹はくちびるをへの字にして泣くのをこらえていた。
私もこらえていた。
帰りみち。
「働くことは好き?」
ときいたら、妹は迷わず
「うん!」
と答えた。
働くこと。
それは健康に生きている証拠だと思う。
たとえどんな身体にうまれてきても。
たとえ関節が固まり、指が縮こまり、目玉ひとつ思い通りに動かせなくても。
心さえまっすぐに育ち、健やかであれば、社会の中で自分の役割を欲するのが自然だ。
妹の役割は緩衝材を袋に詰めることだった。
私は、妹を施設に入れることで、その役割を奪ってしまうのだと思った。
・・・明後日から入所する施設で、ゆうこは何か新しい役割を見つけだせるだろうか。
13年間頑張って働いた妹に免じて1クリック!お願いします。
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「ちょうど始まるところですよ」
といわれた。
司会をつとめる職員さんの声がマイクを通して聞こえてきた。
「では、ゆうこさんの『お別れ会』を始めます」
高校をでてから十余年。
妹はこの作業所に通い、働いてきた。
緩衝材を袋につめていくだけの簡単な仕事だ。
ふつうの人なら一袋数十秒でできるだろうが、妹の体だと1時間かかる。
丸一日働いても数袋。
一か月の給料もほんの小銭だ。
だが、ほんのわずかでも働いている。
稼いでいる。
それを妹は誇りに思っていた。
数字の勘定はできないけど、お金が大切なものであることや、節約することは知っていた。
自分で稼いだお金だからだ。
だけど妹はもうすぐ施設に入所する。
作業所は辞めなくてはならない。
それで『お別れ会』をしてもらったのだ。
花束と。
寄せ書きと。
プレゼントと。
たくさんの言葉と。
握手と。
抱擁と。
笑顔と。
涙と。
車椅子のひざの上に抱えきれないほどのものをもらった。
妹はくちびるをへの字にして泣くのをこらえていた。
私もこらえていた。
帰りみち。
「働くことは好き?」
ときいたら、妹は迷わず
「うん!」
と答えた。
働くこと。
それは健康に生きている証拠だと思う。
たとえどんな身体にうまれてきても。
たとえ関節が固まり、指が縮こまり、目玉ひとつ思い通りに動かせなくても。
心さえまっすぐに育ち、健やかであれば、社会の中で自分の役割を欲するのが自然だ。
妹の役割は緩衝材を袋に詰めることだった。
私は、妹を施設に入れることで、その役割を奪ってしまうのだと思った。
・・・明後日から入所する施設で、ゆうこは何か新しい役割を見つけだせるだろうか。
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施設見学
妹が入所予定の施設にいってきた。
入所について詳しい説明を聞くためだ。
部屋も見せてもらった。
重い身体障害をもつひとたちが、さまざまな形状の車椅子で行き交い、活発に暮らしている。
毎日イベントがあり
毎日クラブ活動があり
みんな何かしら忙しい様子。
このところ老人施設ばかり見学していたから
「若くて元気だなあ」
と感心した。
いい施設なのだろうと思う。
だけどやっぱり、入所してしまうと、施設の外にでる機会はほとんどない。
映画にいくことも温泉にいくことも電車やバスに乗ることもない。
私なら、って考えた。
もしも私がここで暮らすことになったら。
閉じ込められたと思うだろうな。
どんなに良い環境であったとしても。
入所者を外出させるには家族が連れ出すしかない。
とはいえ母もいるし、交通の便も悪いし、そうホイホイ会いに行ける所ではない。
ただ・・・ひとつだけ。
ひとつだけ、この施設には大きな利点がある。
自宅からは遠いけど
宝塚大劇場にすごく近いということだ。
私の遊び場から車で数分の距離!
来年、私に仕事がみつかったらの話になるけれど。
妹つれだして一緒に観劇するとか
劇場帰りに手土産もって会いにいくとか
妹のところにいく口実つくってついでに舞台も観てくるとか。
そういう方法でならホイホイ行ける気がしてきた!!!
・・・遊ぶこと優先させて何が悪い。
来年、桜が咲いたなら。
宝塚の桜を家族みんなで見上げるのもいいと思う。
車椅子2台ならべて花のみちを歩く。
そんな一家団欒でもいいのではないだろうか。
花のみちの桜を見たことがある方も
そんなの知らないって方も
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重い身体障害をもつひとたちが、さまざまな形状の車椅子で行き交い、活発に暮らしている。
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このところ老人施設ばかり見学していたから
「若くて元気だなあ」
と感心した。
いい施設なのだろうと思う。
だけどやっぱり、入所してしまうと、施設の外にでる機会はほとんどない。
映画にいくことも温泉にいくことも電車やバスに乗ることもない。
私なら、って考えた。
もしも私がここで暮らすことになったら。
閉じ込められたと思うだろうな。
どんなに良い環境であったとしても。
入所者を外出させるには家族が連れ出すしかない。
とはいえ母もいるし、交通の便も悪いし、そうホイホイ会いに行ける所ではない。
ただ・・・ひとつだけ。
ひとつだけ、この施設には大きな利点がある。
自宅からは遠いけど
宝塚大劇場にすごく近いということだ。
私の遊び場から車で数分の距離!
来年、私に仕事がみつかったらの話になるけれど。
妹つれだして一緒に観劇するとか
劇場帰りに手土産もって会いにいくとか
妹のところにいく口実つくってついでに舞台も観てくるとか。
そういう方法でならホイホイ行ける気がしてきた!!!
・・・遊ぶこと優先させて何が悪い。
来年、桜が咲いたなら。
宝塚の桜を家族みんなで見上げるのもいいと思う。
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妹の施設入所について
私の末の妹は、重いハンディキャップをかかえて生まれてきた。
立てないし座れないし話せないし字も読めない。
自分ひとりでは水も飲めない。
車椅子にのって紙オムツつけてる。
でも、普通に暮らしてる。
平日は作業所で働き、土日はヘルパーさんと遊びにいく。
家のお風呂は使えないけど温泉でまったりすることはできる。
カラオケも歌える。
映画も楽しめる。
立てなくても歩けなくても、車椅子に乗ってどこへでも旅行に行ける。
びっくりするほど大勢の友達がいる。
障害があっても
人生を楽しむことはできる。
動けなくても
幸せになることはできる。
心はおなじだから。
だけど、今の暮らしをつづけることは、もうできなくなった。
身体障害者施設に入居することになったから。
12月下旬に引っ越して家と施設を行ったり来たりしながら年末年始をすごし、だんだん慣れてもらう予定。
正直、すごく悔しい。
すごくすごく申し訳ない。
すごくすごくすごく。
私がもっとしっかりしていたら。
私がもっと、良いお姉ちゃんだったら。
すごくすごくすごく。
実は、母が倒れてから今までにも「入所させよう」という意見はあった。
父とか親戚とか。
でも私が拒否していた。
やれるところまで頑張りたかった。
最終的に決めたのは母だった。
ある晩、途方にくれている私を見て、ベッドの中から言ったのだ。
「もう、ね、施設入れよう。入ってもらおう、そうしよう、ね」
って。
母はそう言うことで私を救おうとしてくれたのだ。
2人の姉を妹の犠牲にしてはいけない。
それが母の信念だから。
妹はほとんど喋れないから、どう感じているのか、はっきりとはわからない。
だけどみんなでいっぱい説明したから意味は分かっていると思う。
来月から入所だよっていうと
「うん」
と真面目な顔で返事した。
イヤは言わなかった。
なぜ施設に入ることになったのか、妹なりに理解してくれたのだと感じている。
幸いなのは施設のことがよくわかっているということだ。
妹は昔からショートステイに利用してきた。
ショートと入所は別物だけど、無数の施設見学をしてきた母が
「このあたりであそこ以上のものはない」
と言い切り
「私に何かあったらゆうこをお願いします」
と以前から頼んでいたそうだ。
妹は来年からはもう、平日に働くことはない。
土日に遊びにでかけることもない。
普通の暮らしとはいえないだろう。
でも、母が選びぬいた施設だから。
きっと良い所なんだと思う。
きっと次の幸せが開けるのだと思う。
大人になって家を出るのはごく一般的なこと。
家を出て、妹は自立するのだ。
新しい人生を歩いていく。
思いがけない素晴らしい出会いがきっと待っているだろう。
私たち家族はそれに賭けることにした。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
皆様の1クリック に私は元気をいただいています。
1日1回よろしくお願いします!
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でも、普通に暮らしてる。
平日は作業所で働き、土日はヘルパーさんと遊びにいく。
家のお風呂は使えないけど温泉でまったりすることはできる。
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立てなくても歩けなくても、車椅子に乗ってどこへでも旅行に行ける。
びっくりするほど大勢の友達がいる。
障害があっても
人生を楽しむことはできる。
動けなくても
幸せになることはできる。
心はおなじだから。
だけど、今の暮らしをつづけることは、もうできなくなった。
身体障害者施設に入居することになったから。
12月下旬に引っ越して家と施設を行ったり来たりしながら年末年始をすごし、だんだん慣れてもらう予定。
正直、すごく悔しい。
すごくすごく申し訳ない。
すごくすごくすごく。
私がもっとしっかりしていたら。
私がもっと、良いお姉ちゃんだったら。
すごくすごくすごく。
実は、母が倒れてから今までにも「入所させよう」という意見はあった。
父とか親戚とか。
でも私が拒否していた。
やれるところまで頑張りたかった。
最終的に決めたのは母だった。
ある晩、途方にくれている私を見て、ベッドの中から言ったのだ。
「もう、ね、施設入れよう。入ってもらおう、そうしよう、ね」
って。
母はそう言うことで私を救おうとしてくれたのだ。
2人の姉を妹の犠牲にしてはいけない。
それが母の信念だから。
妹はほとんど喋れないから、どう感じているのか、はっきりとはわからない。
だけどみんなでいっぱい説明したから意味は分かっていると思う。
来月から入所だよっていうと
「うん」
と真面目な顔で返事した。
イヤは言わなかった。
なぜ施設に入ることになったのか、妹なりに理解してくれたのだと感じている。
幸いなのは施設のことがよくわかっているということだ。
妹は昔からショートステイに利用してきた。
ショートと入所は別物だけど、無数の施設見学をしてきた母が
「このあたりであそこ以上のものはない」
と言い切り
「私に何かあったらゆうこをお願いします」
と以前から頼んでいたそうだ。
妹は来年からはもう、平日に働くことはない。
土日に遊びにでかけることもない。
普通の暮らしとはいえないだろう。
でも、母が選びぬいた施設だから。
きっと良い所なんだと思う。
きっと次の幸せが開けるのだと思う。
大人になって家を出るのはごく一般的なこと。
家を出て、妹は自立するのだ。
新しい人生を歩いていく。
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