忍者ブログ

在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~

独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
03«  2024/04  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30   »05
Admin | Write | Comment

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


スポンサードリンク

作業所のお別れ会

妹を迎えに作業所へいくと
 「ちょうど始まるところですよ」
といわれた。
司会をつとめる職員さんの声がマイクを通して聞こえてきた。
 「では、ゆうこさんの『お別れ会』を始めます」

高校をでてから十余年。
妹はこの作業所に通い、働いてきた。
緩衝材を袋につめていくだけの簡単な仕事だ。
ふつうの人なら一袋数十秒でできるだろうが、妹の体だと1時間かかる。
丸一日働いても数袋。
一か月の給料もほんの小銭だ。
だが、ほんのわずかでも働いている。
稼いでいる。
それを妹は誇りに思っていた。
数字の勘定はできないけど、お金が大切なものであることや、節約することは知っていた。
自分で稼いだお金だからだ。

だけど妹はもうすぐ施設に入所する。
作業所は辞めなくてはならない。
それで『お別れ会』をしてもらったのだ。

花束と。
寄せ書きと。
プレゼントと。
たくさんの言葉と。
握手と。
抱擁と。
笑顔と。
涙と。
車椅子のひざの上に抱えきれないほどのものをもらった。
妹はくちびるをへの字にして泣くのをこらえていた。
私もこらえていた。

帰りみち。
 「働くことは好き?」
ときいたら、妹は迷わず
 「うん!」
と答えた。

働くこと。
それは健康に生きている証拠だと思う。
たとえどんな身体にうまれてきても。
たとえ関節が固まり、指が縮こまり、目玉ひとつ思い通りに動かせなくても。
心さえまっすぐに育ち、健やかであれば、社会の中で自分の役割を欲するのが自然だ。
妹の役割は緩衝材を袋に詰めることだった。
私は、妹を施設に入れることで、その役割を奪ってしまうのだと思った。
・・・明後日から入所する施設で、ゆうこは何か新しい役割を見つけだせるだろうか。


13年間頑張って働いた妹に免じて1クリック!お願いします。
 ↓
にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村
PR


スポンサードリンク

Comment

Name
Title
Mail(非公開)
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集に必要です

初めましての方へ

母:高次脳機能障害、要介護5
妹:重度重複障害者
父:天然ボケ
猫:2匹
こんな家での暮らしを綴っています。
詳しくはこちら

広告





ブログ内検索

プロフィール

メールはこちら

ランキング

<< BACK  | HOME |   NEXT >>
Copyright ©  -- 在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~ --  All Rights Reserved
Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]