在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~
独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
2人ならんで
週末、ケアホームから帰ってきた妹がテレビを見ていると
「お母さんも」
と声がした。
見れば母が自力で車椅子から降りようとしている!
「危ない! なにすんの!」
びっくりして引っ張り上げる。
「ゆうこの横にゴロンって寝ようと思っただけなんだけど・・・」
カーペットにゴロ寝する妹がうらやましかったらしい。
無茶にもほどがある!
危ないのはもちろん、いったん地べたに降りてしまったら、私の力では母を抱き上げることも車椅子に戻すこともできない。
「お願いだからやめて!」
思わず大きな声をあげると母はしゅんとしてしまった。
しょうがないから2人ともベッドに寝かせることにした。
母は電動ベッド。
妹は簡易ベッド。
2つのベッドを同じ高さをにして、くっつける。
Wベッドみたいになった。
母と妹はならんで横になり、ごろごろとテレビを見ていた。
それは昔みたいな光景だった。
母が倒れるその日まで30年間、2人はずっと布団にならんで寝ていたのだ。
今は妹は週末しか帰ってこないし、
家でもべつべつのシングルベッドで、もしかしたら寂しかったのかもしれない。
テレビをみている間中、2人はずっと手をついないでた。
いつもは暴れまわってる妹がふしぎと穏やかな顔してた。
でも母によれば
「この手はゆうこが顔を叩いてくるから押さえつけてるだけ」
なのだった。
・・・やっぱり暴れてたんか。
「お母さんも」
と声がした。
見れば母が自力で車椅子から降りようとしている!
「危ない! なにすんの!」
びっくりして引っ張り上げる。
「ゆうこの横にゴロンって寝ようと思っただけなんだけど・・・」
カーペットにゴロ寝する妹がうらやましかったらしい。
無茶にもほどがある!
危ないのはもちろん、いったん地べたに降りてしまったら、私の力では母を抱き上げることも車椅子に戻すこともできない。
「お願いだからやめて!」
思わず大きな声をあげると母はしゅんとしてしまった。
しょうがないから2人ともベッドに寝かせることにした。
母は電動ベッド。
妹は簡易ベッド。
2つのベッドを同じ高さをにして、くっつける。
Wベッドみたいになった。
母と妹はならんで横になり、ごろごろとテレビを見ていた。
それは昔みたいな光景だった。
母が倒れるその日まで30年間、2人はずっと布団にならんで寝ていたのだ。
今は妹は週末しか帰ってこないし、
家でもべつべつのシングルベッドで、もしかしたら寂しかったのかもしれない。
テレビをみている間中、2人はずっと手をついないでた。
いつもは暴れまわってる妹がふしぎと穏やかな顔してた。
でも母によれば
「この手はゆうこが顔を叩いてくるから押さえつけてるだけ」
なのだった。
・・・やっぱり暴れてたんか。
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眠れない夜のテレビ
昨夜はちっとも眠れなかった。
妹の不眠症の巻き添えになったのだ。
よくあることで、まあ知的障害者の夜泣きみたいなもんだ。
なだめたりすかしたり、なんとか寝かしつけようと
3時くらいまで格闘していたが
4時をすぎるとどうでもよくなって
「テレビでも見よっか」
チャンネルをまわした。
ちょうど2020年のオリンピック開催地をきめる投票中継をやっていた。
そしたらもう目が離せなくなって、眠れないことなんかどうでもよくなって。
「東京勝ったあああ!」
「パラリンピックが日本に来るううう!」
2人で盛り上がったのが5時半で。
「お祝いにコーヒーでも飲もっか」
そのまま朝を迎えた。
眠れなくっても、たまには、いい。
妹の不眠症の巻き添えになったのだ。
よくあることで、まあ知的障害者の夜泣きみたいなもんだ。
なだめたりすかしたり、なんとか寝かしつけようと
3時くらいまで格闘していたが
4時をすぎるとどうでもよくなって
「テレビでも見よっか」
チャンネルをまわした。
ちょうど2020年のオリンピック開催地をきめる投票中継をやっていた。
そしたらもう目が離せなくなって、眠れないことなんかどうでもよくなって。
「東京勝ったあああ!」
「パラリンピックが日本に来るううう!」
2人で盛り上がったのが5時半で。
「お祝いにコーヒーでも飲もっか」
そのまま朝を迎えた。
眠れなくっても、たまには、いい。
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逆回転
昔から「タイムスリップもの」の物語が好きだ。
アトリーの『時の旅人』、
ピアスの『トムは真夜中の庭で』、
筒井康隆の『時をかける少女』、
宮部みゆきの『蒲生邸事件』。
だけどそれらはお話だ。
現実に時を旅することなどできない。
朝ドラだって言っているじゃないか。
「人生は逆回転できない」。
って。
人生は一度きり。
時計の針を戻すことはできないんだ。
・・・って、
戻っとる!!!!!
(短い映像ですが)
家の時計が逆回転してました。
完全に時をさかのぼっていました。
秒針も短針も長針も。
チクタク、チクタク。
時をさかのぼっていく。
私を過去へとつれていく。
SFの世界にまぎれこんだような錯覚におちいり、しばしフリーズしてました。
時計はもちろん壊れてただけ。
SFじゃない。
だけどちょっと思った。
時計はもしかしたら、家の空気を吸い込んで、ああなったのじゃないかって。
だって妹がときどき泣いてるから。
母が倒れて半年もたつというのに、重い障害をもつ妹はまだそれを受け入れられない。
生まれてからずっと世話してくれていた母は、妹の手であり足であり口になってくれる存在だった。
全世界の中心だった。
母が倒れたということは、太陽が倒れたみたいなものなのだ。
実際にはいろんな人が介護をしてくれて妹は支障なく暮らしているのだけど。
母は変わってしまった。
もう二度と、母が自分を世話してくれることはない。
もう二度と、母がバイオリンを弾くことはない。
もう二度と。
元には戻らない。
何もかも。
戻らない。
妹は不自由な口で「ママ」と呼びながらさめざめと泣いてた。
私はただ、「大丈夫、お姉ちゃんがいるよ」ってアホみたいな台詞をいうことしかできなかった。
逆回転する時計をみるとそんな妹のことを連想したのだ。
ついでに、無力すぎる自分のことも思い出して腹がたってきた。
ええい!
ジメジメすんな!!!!
私は時計をバシバシ叩いた。
時計は完全にストップした。
「壊れたんやったら捨てるぞ!」
脅してもきかない。
あたりまえか。
で、電池をいれかえてみた。
時計の針はアッサリと、未来へむかって時を刻みはじめた。
時をさかのぼる物語は好きだ。
だけど私たちは前へ進まなくちゃいけないから。
立ち止まってちゃいけないから。
私はなんとかして妹の針も進ませてやらなくちゃいけない。
来週はあの子も誕生日で、またひとつ年をとる。
絵本でも買ってやろうかなあ。
アトリーの『時の旅人』、
ピアスの『トムは真夜中の庭で』、
筒井康隆の『時をかける少女』、
宮部みゆきの『蒲生邸事件』。
だけどそれらはお話だ。
現実に時を旅することなどできない。
朝ドラだって言っているじゃないか。
「人生は逆回転できない」。
って。
人生は一度きり。
時計の針を戻すことはできないんだ。
・・・って、
戻っとる!!!!!
(短い映像ですが)
家の時計が逆回転してました。
完全に時をさかのぼっていました。
秒針も短針も長針も。
チクタク、チクタク。
時をさかのぼっていく。
私を過去へとつれていく。
SFの世界にまぎれこんだような錯覚におちいり、しばしフリーズしてました。
時計はもちろん壊れてただけ。
SFじゃない。
だけどちょっと思った。
時計はもしかしたら、家の空気を吸い込んで、ああなったのじゃないかって。
だって妹がときどき泣いてるから。
母が倒れて半年もたつというのに、重い障害をもつ妹はまだそれを受け入れられない。
生まれてからずっと世話してくれていた母は、妹の手であり足であり口になってくれる存在だった。
全世界の中心だった。
母が倒れたということは、太陽が倒れたみたいなものなのだ。
実際にはいろんな人が介護をしてくれて妹は支障なく暮らしているのだけど。
母は変わってしまった。
もう二度と、母が自分を世話してくれることはない。
もう二度と、母がバイオリンを弾くことはない。
もう二度と。
元には戻らない。
何もかも。
戻らない。
妹は不自由な口で「ママ」と呼びながらさめざめと泣いてた。
私はただ、「大丈夫、お姉ちゃんがいるよ」ってアホみたいな台詞をいうことしかできなかった。
逆回転する時計をみるとそんな妹のことを連想したのだ。
ついでに、無力すぎる自分のことも思い出して腹がたってきた。
ええい!
ジメジメすんな!!!!
私は時計をバシバシ叩いた。
時計は完全にストップした。
「壊れたんやったら捨てるぞ!」
脅してもきかない。
あたりまえか。
で、電池をいれかえてみた。
時計の針はアッサリと、未来へむかって時を刻みはじめた。
時をさかのぼる物語は好きだ。
だけど私たちは前へ進まなくちゃいけないから。
立ち止まってちゃいけないから。
私はなんとかして妹の針も進ませてやらなくちゃいけない。
来週はあの子も誕生日で、またひとつ年をとる。
絵本でも買ってやろうかなあ。
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