在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~
独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
初めてのお買いもの
朝。
出かけようとするオヤジの姿を見て思わず叫んだ。
「穴があいとる!」
煙草の灰でもこぼしたのだろう、お気に入りのズボンに大きな穴が開いている。
それも・・・股のところに。
おっさんのズボンの股に穴。
なんという情けない眺めだろうか。
「ええやんこれくらい」
いや、あかん!
絶対あかん!
「新しいの買っておいで」
と財布を渡した。
だがオヤジは小さな声で
「俺・・・買い物・・・苦手や・・・」
と呟くばかり。
甘やかされて育ったオヤジは、64年間の人生で靴下一足たりとも自分で買にいったことがない。
母親や姉さんや嫁さんや、いつも誰かが買ってきてくれたから。
服のサイズはもちろん自分の靴のサイズでさえ、ついこのあいだまで知らなかったくらいだ。
「だから俺・・・買い物なんかでけへん・・・」
でけへんて!
情けないこと言うな!
大人やろ!
ズボンの1本くらい、そこの『はるやま』行って買っておいで!
行かないなら、その穴、アップリケでふさいでまうぞ!
リンゴがいいか?
ゾウさんがいいか?
ゾウさんくっつけて会社に行くか?
オヤジは半べそをかきながら1万円握りしめてはるやまへ行った。
そしてぜんぜん帰ってこなかった。
晩御飯のころ。
オヤジは晴れ晴れとした顔で帰宅した。
ちゃんと買えた?
「5本買った!」
えっ。
5本?
多すぎない?
「だって、今なら3本買ったら2本タダでついてくる、って言われてんもん」
つまり、店員さんにいいように買わされたってわけだ。
・・・まあ・・・いいけど・・・。
オヤジは得意満面だった。
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出かけようとするオヤジの姿を見て思わず叫んだ。
「穴があいとる!」
煙草の灰でもこぼしたのだろう、お気に入りのズボンに大きな穴が開いている。
それも・・・股のところに。
おっさんのズボンの股に穴。
なんという情けない眺めだろうか。
「ええやんこれくらい」
いや、あかん!
絶対あかん!
「新しいの買っておいで」
と財布を渡した。
だがオヤジは小さな声で
「俺・・・買い物・・・苦手や・・・」
と呟くばかり。
甘やかされて育ったオヤジは、64年間の人生で靴下一足たりとも自分で買にいったことがない。
母親や姉さんや嫁さんや、いつも誰かが買ってきてくれたから。
服のサイズはもちろん自分の靴のサイズでさえ、ついこのあいだまで知らなかったくらいだ。
「だから俺・・・買い物なんかでけへん・・・」
でけへんて!
情けないこと言うな!
大人やろ!
ズボンの1本くらい、そこの『はるやま』行って買っておいで!
行かないなら、その穴、アップリケでふさいでまうぞ!
リンゴがいいか?
ゾウさんがいいか?
ゾウさんくっつけて会社に行くか?
オヤジは半べそをかきながら1万円握りしめてはるやまへ行った。
そしてぜんぜん帰ってこなかった。
晩御飯のころ。
オヤジは晴れ晴れとした顔で帰宅した。
ちゃんと買えた?
「5本買った!」
えっ。
5本?
多すぎない?
「だって、今なら3本買ったら2本タダでついてくる、って言われてんもん」
つまり、店員さんにいいように買わされたってわけだ。
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オヤジの果敢な挑戦~オムツ交換への道(2)~
うちのオヤジ。
64才にして、生まれて初めて紙オムツというものに触れた。
母のオムツ交換にチャレンジしたのだ。
持っていたのはなぜか赤ちゃん用ムーニーマンだったけど(1月10日の日記)。
母自身が何度も教えたので尿とりパッドだけは覚えた。
それでもオムツ交換への道は遠かった。
「俺こういうの苦手や・・・」
なんども呟いた。
汚物に触れるどころか直視することもできない。
男性には精神的にきつい仕事なのかもしれない。
それに私は教えることが下手だから。
すぐに、
私がやったほうが早い!
ってなっちゃうから。
それでオヤジはしゅんとして
「俺もうムリ」
と逃げてしまった。
練習しようというと黙って部屋からでていった。
それを
「できるようになってもらわないと、イザという時に困るでしょ!」
叱りつけたのは母本人。
「うん・・・」
雨にうたれた子犬みたいな顔でオヤジはもどってきた。
不器用な指でおどおどと紙オムツに触れていた。
「シワになったらアカンのよ、褥瘡になるからね!」
母は私よりもスパルタだった。
そんなこんなで、先日。
オヤジが台所にのっそりと顔をだして
「母さんがオムツ替えてほしい言うてるんやけど」
と告げにきた。
その日は妹が帰宅していた。
私は夕飯のエビフライを揚げている真っ最中で、その隣では妹が暴れまくっていた。
私いま手が離せないから!
お父さんひとりでやってみて!
「・・・わかった」
オヤジはまたのっそりと顔を引っ込めた。
エビフライを揚げ終わってから様子をみにいくと
「お父さんがね、オムツ替えてくれはったよ!」
母が興奮して教えてくれた。
大丈夫?
「うん、今終わったとこ」
母とは対照的にオヤジの声はかぼそい。
息切れしている。
初めて大事業を成し遂げたので疲れ果てたらしい。
「あかんかった・・・・。
ぐっちゃぐっちゃや・・・。
おまえやり直してくれ・・・・」
恐々あけてみると、尿とりパッドが芸術的にエライことになってた。
よじれて裏向けではみだしてた。
もはや横向きだった。
ここまでになるなんて、さぞかし苦労したのだろう。
「よく頑張った」
ほめといた。
母も一生懸命に
「ぐちゃぐちゃと違うよ。きれいにできてたよ。ありがとう」
あからさまに嘘の言葉を尽くしてほめていた。
オヤジは悲しそうにしおれていた。
「俺はアカンなあ・・・」
あれから数週間。
オヤジはまだ一度も紙オムツに触れていない。
がんばれ、オヤジ!
負けるな、オヤジ!
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64才にして、生まれて初めて紙オムツというものに触れた。
母のオムツ交換にチャレンジしたのだ。
持っていたのはなぜか赤ちゃん用ムーニーマンだったけど(1月10日の日記)。
母自身が何度も教えたので尿とりパッドだけは覚えた。
それでもオムツ交換への道は遠かった。
「俺こういうの苦手や・・・」
なんども呟いた。
汚物に触れるどころか直視することもできない。
男性には精神的にきつい仕事なのかもしれない。
それに私は教えることが下手だから。
すぐに、
私がやったほうが早い!
ってなっちゃうから。
それでオヤジはしゅんとして
「俺もうムリ」
と逃げてしまった。
練習しようというと黙って部屋からでていった。
それを
「できるようになってもらわないと、イザという時に困るでしょ!」
叱りつけたのは母本人。
「うん・・・」
雨にうたれた子犬みたいな顔でオヤジはもどってきた。
不器用な指でおどおどと紙オムツに触れていた。
「シワになったらアカンのよ、褥瘡になるからね!」
母は私よりもスパルタだった。
そんなこんなで、先日。
オヤジが台所にのっそりと顔をだして
「母さんがオムツ替えてほしい言うてるんやけど」
と告げにきた。
その日は妹が帰宅していた。
私は夕飯のエビフライを揚げている真っ最中で、その隣では妹が暴れまくっていた。
私いま手が離せないから!
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「・・・わかった」
オヤジはまたのっそりと顔を引っ込めた。
エビフライを揚げ終わってから様子をみにいくと
「お父さんがね、オムツ替えてくれはったよ!」
母が興奮して教えてくれた。
大丈夫?
「うん、今終わったとこ」
母とは対照的にオヤジの声はかぼそい。
息切れしている。
初めて大事業を成し遂げたので疲れ果てたらしい。
「あかんかった・・・・。
ぐっちゃぐっちゃや・・・。
おまえやり直してくれ・・・・」
恐々あけてみると、尿とりパッドが芸術的にエライことになってた。
よじれて裏向けではみだしてた。
もはや横向きだった。
ここまでになるなんて、さぞかし苦労したのだろう。
「よく頑張った」
ほめといた。
母も一生懸命に
「ぐちゃぐちゃと違うよ。きれいにできてたよ。ありがとう」
あからさまに嘘の言葉を尽くしてほめていた。
オヤジは悲しそうにしおれていた。
「俺はアカンなあ・・・」
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2人ならんでリハビリを
母と妹をつれて訓練会に行った。
リハビリの会だ。
月に一度、障害をもつ子供とその親が、家でもできるリハビリ方法をプロから教わる。
・・・母が妹のためにはじめた会。
今では母自身が障がい者になり、妹と2人ならんでリハビリをしている。
「ほらゆうこ、お母さんもいっしょだよ。」
母が話しかけると妹はニッコリする。
幸せそうだった。
幸せの理由はひとつじゃない。
妹の友達と、母の仲間と、優しい先生と。
母が病気になり、妹が施設にいき、いろんなことが変わってしまったあとでも、ここの人たちは以前と同じように受け入れてくれたから。
2人そろって立位をすると、まわりから拍手があがった。
(左の柄パンが母、右が妹、妹の足を支えているのが先生)
母は、一瞬だけど、ひとりで立てた!
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リハビリの会だ。
月に一度、障害をもつ子供とその親が、家でもできるリハビリ方法をプロから教わる。
・・・母が妹のためにはじめた会。
今では母自身が障がい者になり、妹と2人ならんでリハビリをしている。
「ほらゆうこ、お母さんもいっしょだよ。」
母が話しかけると妹はニッコリする。
幸せそうだった。
幸せの理由はひとつじゃない。
妹の友達と、母の仲間と、優しい先生と。
母が病気になり、妹が施設にいき、いろんなことが変わってしまったあとでも、ここの人たちは以前と同じように受け入れてくれたから。
2人そろって立位をすると、まわりから拍手があがった。
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