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在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~

独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
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老犬の春

老いた犬に会った。
親戚の犬だ。

名前はあずき。
年は、いくつになるのかな。
かなりのおばあさんだ。
 「もう自分で階段をのぼれないから」
と、抱かれて昇った2階の部屋でまどろんでいた。
・・・こんにちは。ひさしぶりだね。
声をかけると目をあけた。
黒い瞳がやさしく私を見つめている。
首をのばそうとすると、まるで寒いみたいに前足が震えだした。
自分では止められない震えだった。



 「よしよしよし・・・」
飼い主のおばさんが震える犬を抱えて撫でた。
黒い頭に頬ずりをする。
声に出されない言葉がおばさんの掌から犬の背中に伝わっていく。
それは春の日ざしのように明らかで、あったかい想いだった。
愛しい、愛しい。
愛しい子。
老犬は嬉しそうに目と耳で微笑みかえした。
震えがとまり、あずきは、春の日ざしのなかで再びうとうととまどろみはじめた。



対照的な風景が頭に浮かんだ。
知り合いのお年寄りの部屋だ。
連れ合いに死なれ子は独立し、誰も帰ってこない家でひとり暮らすおばあさん。
思い出の残骸に埋め尽くされた部屋で、いつまでも仏壇に向って座っていたおばあさん。
・・・場合によっては人よりも、犬のほうが幸福だと思うのは間違っているだろうか。
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初めましての方へ

母:高次脳機能障害、要介護5
妹:重度重複障害者
父:天然ボケ
猫:2匹
こんな家での暮らしを綴っています。
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