在宅介護しながらウィーンへ行くブログ~猫とビターチョコレート~
独身のアラフォーが家族を在宅介護、やりくりしながらウィーン旅行を目指します
うしろめたさと幸せと
昨日のこと。
友達とランチに行ってくる、というと、母はかすかに表情を変えた。
「どこいくの?」
新しいお店だよ。
ケーキがおいしいんだって。
「いいなー・・・いいなー・・・」
母だってデイサービスよりもランチへ行きたいに決まっている。
ごめんね。
こんど連れていくから!
若干の後ろめたさを抱えながら、友達とデート。
店の入り口に段差はないか。
車椅子が入る広さはあるか。
駐車場はどうか。
いちいちチェックしながらも・・・おいしかった!
(カルボナーラ)
(和栗と仏栗のパンケーキ)
すっごくすっごく、おいしかった!
だけど。
おいしければおいしいほど。
楽しければ楽しいほど。
「母に悪いな」
という思いがこびりついて離れない。
・・・そういう考え方したらアカンと思うねんけど。
私は自分の気持ちをコントロールできるほど賢くない。
ついつい、母のことを考えてしまうたびに
「おかーさん、こんど絶対、連れていくからね!」
と、心の中でつけ加えることにする。
まあ。
しゃあないわ。
1クリックで応援よろしくお願いします!
↓
さて、さっき母とクラシック音楽をきいていた。
リヒャルト・シュトラウスのオペラ『サロメ』。
そしたら、早口言葉を思いついた。
これは難しいぞ!
言えないぞ!
大リヒャルト・シュトラウス
中リヒャルト・シュトラウス
小リヒャルト・シュトラウス
ところが母は難なく言い切った。
ちょっと悔しい。
あなたもチャレンジしてみてください。
友達とランチに行ってくる、というと、母はかすかに表情を変えた。
「どこいくの?」
新しいお店だよ。
ケーキがおいしいんだって。
「いいなー・・・いいなー・・・」
母だってデイサービスよりもランチへ行きたいに決まっている。
ごめんね。
こんど連れていくから!
若干の後ろめたさを抱えながら、友達とデート。
店の入り口に段差はないか。
車椅子が入る広さはあるか。
駐車場はどうか。
いちいちチェックしながらも・・・おいしかった!
(カルボナーラ)
(和栗と仏栗のパンケーキ)
すっごくすっごく、おいしかった!
だけど。
おいしければおいしいほど。
楽しければ楽しいほど。
「母に悪いな」
という思いがこびりついて離れない。
・・・そういう考え方したらアカンと思うねんけど。
私は自分の気持ちをコントロールできるほど賢くない。
ついつい、母のことを考えてしまうたびに
「おかーさん、こんど絶対、連れていくからね!」
と、心の中でつけ加えることにする。
まあ。
しゃあないわ。
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さて、さっき母とクラシック音楽をきいていた。
リヒャルト・シュトラウスのオペラ『サロメ』。
そしたら、早口言葉を思いついた。
これは難しいぞ!
言えないぞ!
大リヒャルト・シュトラウス
中リヒャルト・シュトラウス
小リヒャルト・シュトラウス
ところが母は難なく言い切った。
ちょっと悔しい。
あなたもチャレンジしてみてください。
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羽生結弦選手に感動した
今日も我が家はレイニーだった。
ズボンを脱がせ、着替えをしている途中で母がいった。
「今からね、羽生結弦がすべるの」
母はフィギュアスケートが大好きだ。
トイレに入る直前まで、中国杯の男子フリーをみていた。
「羽生君ね、さっき外国人選手とぶつかってね。
大ケガしはったの。
棄権するかと思ったけど今から滑るんだって!」
えっ、そうなの!?
「だからね、見てあげなくっちゃ!」
大急ぎでトイレを出ると、ちょうど羽生選手の演技が始まるところだった。
・・・びっくりした。
頭を包帯でぐるぐる巻きにしている。
アゴの絆創膏は血で染まっている。
繊細な美少年が見る影もない。
幽鬼のように青く、はりつめた顔で一点を睨んでいる。
おそろしいことが始まる予感がした。
音楽がはじまる。
『オペラ座の怪人』だ。
おどろおどろしいファントムの歌が血まみれの修羅場に沿う。
最初のジャンプ。
転倒。
次のジャンプ。
転倒。
いったい何度、転んだのだろう。
転んでも転んでも立ち上がり、またジャンプに挑む。
フリーの演技は長い。
後半に入ってもまだ転倒しつづけた。
私はフィギュアのことはぜんぜん知らない。
どれが3回転だか4回転だかわからない。
それでも鬼気迫る勢いは感じた。
渾身の力をこめ、全霊を注ぎ、命を懸けて滑っているのを感じた。
そして、何度も何度も転びながらも、
何度かジャンプに成功した。
くるくるとまわっていた。
頭を打っているのにどうしてあんなに回れるんだろう。
まっすぐ立つこともできない人がどうしてあんなふうに滑ることができるのだろう。
一流のひとは、心の力で、こんなにもすごいことができるんだ。
畏敬の念を覚える演技だった。
長い長い4分半の後。
曲が止まった。
点数が出た。
その時点での1位だった。
羽生選手が顔を覆って泣き出した。
解説のひとも泣いていた。
まわりもいっぱい泣いていたと思う。
まるでスポ根マンガみたいな場面。
なんかすごいものを見たと思った。
激励の1クリックお願いします!
↓
気がつけば、私も母も泣いていた。
「すごかったね」
「がんばったね」
と、口ぐちに喋って。
大変なことに気がついた。
母、ズボンを履くのを忘れてた!
「羽生君の演技が始まる、トイレに入ってる場合じゃない」
ってことになって、慌てて出てきちゃったから。
なんと紙オムツ姿のまま羽生くんを見ていた。
紙オムツまるだして感動して泣いてた。
毛布はかぶってたけど。
それから慌ててズボンを履いて。
・・・今夜も15分おきにオムツ交換やってます。
寝れない。
ズボンを脱がせ、着替えをしている途中で母がいった。
「今からね、羽生結弦がすべるの」
母はフィギュアスケートが大好きだ。
トイレに入る直前まで、中国杯の男子フリーをみていた。
「羽生君ね、さっき外国人選手とぶつかってね。
大ケガしはったの。
棄権するかと思ったけど今から滑るんだって!」
えっ、そうなの!?
「だからね、見てあげなくっちゃ!」
大急ぎでトイレを出ると、ちょうど羽生選手の演技が始まるところだった。
・・・びっくりした。
頭を包帯でぐるぐる巻きにしている。
アゴの絆創膏は血で染まっている。
繊細な美少年が見る影もない。
幽鬼のように青く、はりつめた顔で一点を睨んでいる。
おそろしいことが始まる予感がした。
音楽がはじまる。
『オペラ座の怪人』だ。
おどろおどろしいファントムの歌が血まみれの修羅場に沿う。
最初のジャンプ。
転倒。
次のジャンプ。
転倒。
いったい何度、転んだのだろう。
転んでも転んでも立ち上がり、またジャンプに挑む。
フリーの演技は長い。
後半に入ってもまだ転倒しつづけた。
私はフィギュアのことはぜんぜん知らない。
どれが3回転だか4回転だかわからない。
それでも鬼気迫る勢いは感じた。
渾身の力をこめ、全霊を注ぎ、命を懸けて滑っているのを感じた。
そして、何度も何度も転びながらも、
何度かジャンプに成功した。
くるくるとまわっていた。
頭を打っているのにどうしてあんなに回れるんだろう。
まっすぐ立つこともできない人がどうしてあんなふうに滑ることができるのだろう。
一流のひとは、心の力で、こんなにもすごいことができるんだ。
畏敬の念を覚える演技だった。
長い長い4分半の後。
曲が止まった。
点数が出た。
その時点での1位だった。
羽生選手が顔を覆って泣き出した。
解説のひとも泣いていた。
まわりもいっぱい泣いていたと思う。
まるでスポ根マンガみたいな場面。
なんかすごいものを見たと思った。
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気がつけば、私も母も泣いていた。
「すごかったね」
「がんばったね」
と、口ぐちに喋って。
大変なことに気がついた。
母、ズボンを履くのを忘れてた!
「羽生君の演技が始まる、トイレに入ってる場合じゃない」
ってことになって、慌てて出てきちゃったから。
なんと紙オムツ姿のまま羽生くんを見ていた。
紙オムツまるだして感動して泣いてた。
毛布はかぶってたけど。
それから慌ててズボンを履いて。
・・・今夜も15分おきにオムツ交換やってます。
寝れない。
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悲しいこと
悲しいことを書きとめるには勇気がいる。
書かないでおこうかな、とも、考えたんだけど。
やっぱり書かなくちゃだめだ。
ぜんぶ書くって決めたんだから。
母は地元の音楽家たちと、ボランティアで演奏活動をするグループ「ムジカ」を作って活動していた。
ピアノ、声楽、フルート、オーボエ、そして母のバイオリンという顔ぶれだ。
去年は「ムジカ」の活動が20周年にあたり、記念コンサートをひらくというので、母はとても張り切っていた。
20年の集大成だからって。
楽しみにしていた。
ところが母は脳出血で倒れてしまい。
入院している間に20周年コンサートは終わってしまった。
母の意識が戻らぬうちに。
それから1年半が過ぎ。
母はかなり元気になった。
意識も、記憶も、はっきりしてきた。
妄想もほとんど出なくなった。
ところが、どうしても受け入れられない事がいくつか残った。
その一つが「ムジカ」だ。
20周年のコンサートが自分のいないうちに終わってしまったことが、どうしても理解できない。
受け入れられないのだと思う。
コンサートのDVDも見せた。
メンバーの話も聞いた。
それでも尚。
バイオリンを弾けないことを受け入れるようになった今でも。
母は理解することがでいない。
ムジカの活動は、バイオリンのないままに続いている。
仲間たちがひらく半年に1度のコンサートを母は喜んで聴きに行く。
そのたびに、今度こそ大丈夫だろうと思うのだけど。
今回もまたダメだった。
ムジカのメンバーの顔をみると
「20周年のコンサートのポスターはできたのかしら?」
と言いだしてしまった。
あんなに調子がよかったのに、急に記憶が混乱して
「ゆうこはどこかしら?」
と、とっくの昔に施設に入れた妹を探し始めた。
「お弁当を頼んでいるはずなのよ。
私も会議に出席して、次に弾く曲を決めなくちゃ」
お弁当を頼んだのも
会議に出席していたのも
コンサートにでるための曲を決めなくてはいけなかったのも、2年前のこと。
母がまだバイオリンを弾いていた頃の記憶だ。
普段しっかりしているだけに、今回の混乱は激しく、動揺は深く、私も悲しかった。
応援の1クリックをお願いします!
↓
母の通うデイサービスにも、ムジカはボランティアで弾きにくる。
だけどその日は休ませるようにしている。
「私、このあいだまでお年寄りのために弾いていたのに、自分がお年寄りになっちゃった」
とつぶやくのを聞いてしまったから。
まあ、誰でもいつかお年寄りになるんだけどね。
いつか母が、この現実を受け入れて、ムジカの仲間と話せるようになるといいな。
書かないでおこうかな、とも、考えたんだけど。
やっぱり書かなくちゃだめだ。
ぜんぶ書くって決めたんだから。
母は地元の音楽家たちと、ボランティアで演奏活動をするグループ「ムジカ」を作って活動していた。
ピアノ、声楽、フルート、オーボエ、そして母のバイオリンという顔ぶれだ。
去年は「ムジカ」の活動が20周年にあたり、記念コンサートをひらくというので、母はとても張り切っていた。
20年の集大成だからって。
楽しみにしていた。
ところが母は脳出血で倒れてしまい。
入院している間に20周年コンサートは終わってしまった。
母の意識が戻らぬうちに。
それから1年半が過ぎ。
母はかなり元気になった。
意識も、記憶も、はっきりしてきた。
妄想もほとんど出なくなった。
ところが、どうしても受け入れられない事がいくつか残った。
その一つが「ムジカ」だ。
20周年のコンサートが自分のいないうちに終わってしまったことが、どうしても理解できない。
受け入れられないのだと思う。
コンサートのDVDも見せた。
メンバーの話も聞いた。
それでも尚。
バイオリンを弾けないことを受け入れるようになった今でも。
母は理解することがでいない。
ムジカの活動は、バイオリンのないままに続いている。
仲間たちがひらく半年に1度のコンサートを母は喜んで聴きに行く。
そのたびに、今度こそ大丈夫だろうと思うのだけど。
今回もまたダメだった。
ムジカのメンバーの顔をみると
「20周年のコンサートのポスターはできたのかしら?」
と言いだしてしまった。
あんなに調子がよかったのに、急に記憶が混乱して
「ゆうこはどこかしら?」
と、とっくの昔に施設に入れた妹を探し始めた。
「お弁当を頼んでいるはずなのよ。
私も会議に出席して、次に弾く曲を決めなくちゃ」
お弁当を頼んだのも
会議に出席していたのも
コンサートにでるための曲を決めなくてはいけなかったのも、2年前のこと。
母がまだバイオリンを弾いていた頃の記憶だ。
普段しっかりしているだけに、今回の混乱は激しく、動揺は深く、私も悲しかった。
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母の通うデイサービスにも、ムジカはボランティアで弾きにくる。
だけどその日は休ませるようにしている。
「私、このあいだまでお年寄りのために弾いていたのに、自分がお年寄りになっちゃった」
とつぶやくのを聞いてしまったから。
まあ、誰でもいつかお年寄りになるんだけどね。
いつか母が、この現実を受け入れて、ムジカの仲間と話せるようになるといいな。
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